今回は3歳児以上の夜泣きの続きです。
幼児や子どもの夜泣きの原因と対策の2つ目をご紹介します。
それは、「夜驚症(やきょうしょう)」と呼ばれる睡眠障害の症状です。
夜驚症は夜泣きとよく混同されるのですが、正しくは睡眠障害なので、夜泣きではありません。
夜驚症は2、3歳以上の子どもに現れることが多く、通常は思春期までに自然に消失します。
ですので、2、3歳を過ぎて突然夜泣きが始まった、というような場合、実はそれは夜驚症だったというケースがあります。
夜驚症
- 睡眠中に突然覚醒し、叫び声をあげたり泣き出したりする
- 入眠後3時間以内に出現することが多い
- 強い恐怖とパニックの表情や動作を示し、大汗をかき呼吸や脈が荒い
- 30秒~5分くらいで症状はおさまり、その後は通常の睡眠に戻る
- 外部から呼びかけてもほぼ反応しない
- 本人にはその時の記憶が全くない
などの特徴があります。
夜泣きの場合は、部屋の明かりをつけたり、親が声を掛けると目を覚まして泣き止むことがあります。
これは、夜泣きが浅い睡眠のときに起こるものだからです。
しかし、夜驚症の場合は、深い睡眠状態から突然覚醒します。
そのため、脳の一部分だけ覚醒していて、他の部分は眠ったままという中途半端な状態なのです。
夜驚症の症状が出ている子に言葉をかけても届かないのはそのせいで、基本的に、近くにいる人は成り行きを見守るしかありません。
夜驚症は眠り始めの3時間に集中して発生することがほとんどですが、これは、その時間帯に深い睡眠が出現するからです。
夜驚症の原因
夜驚症が起こる原因は、明確には判明していません。
いろいろな説がありますが、親の育て方は関係なく、生まれつきの脳の素質や、脳の睡眠中枢が未発達なことなどが夜驚症に関係していると言われています。
また、3人に1人は、環境の変化など、何かしらのきっかけがあって発症するものとされています。
対策と治療
夜驚症の対策と治療は、実はあまりありません。
治療よりも、経過を見ていきます。
私たちにできることで大事なのは、「触れずに、そっと見守る」ということです。
夜驚症は、子ども本人の健康に特に悪い影響は与えないとされています。
そのため、積極的に治療をせず、自然消失を待つケースも多いのが実情なのです。
ほとんどの場合、思春期までには自然と治るものとされています。
しかし、夜驚症には何らかの恐怖体験が関係している可能性があるので、それを紐解くことで、夜驚症を治す手がかりになることもあります。
例えば、オバケを極度に怖がっている子どもの場合、オバケは実際には存在しないから大丈夫だとしっかり納得をさせたことによって、夜驚症の頻度が減ったというケースもあるようです。
また、夜驚症が頻繁に発生して、周りの人の睡眠を大きく妨げるような場合などは治療を検討してみてもいいかもしれません。
さらに、夜驚症と同時に、家や窓から出て行こうとする、階段から落ちそうになるなどの行動(夢遊病と言います)を伴って危険な場合や、宿泊を含む学校行事に参加する場合なども、治療の対象となります。
そのような場合には、小児科や小児神経科、もしくは、睡眠障害を専門とした医療機関で一度診てもらうことをおすすめします。
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